ハッテン

大学生までは、ハッテンなんておぞましい、
とんでもないっていう感じだった。
いつか素敵な人に巡り合うんだとか
思っていた。ろくな努力もせずに。
留年してやさぐれた気持ちで新木場に
行ってみたのが最初。ハーフのイケメンに
手を出され、気持ち良さや手軽さ、屋外
の開放感に夢中になってしまった。

そこからは都内のヤリ部屋にあちこち
行くようになった。

自分をさらけ出したり、相手を受け入れる
ことは努力や苦痛が伴うが、ここでは
そんな面倒はない。そこそこの容姿や
体型なら、大抵は相手を見付けて射精する
ことが出来る。けどどんなに気持ち良く
果てたとしても、満足感は店を出て人けの
ない道を歩いている間だけだ。大きな
通りに合流してしまえば、また見ないふり
をしていたことを思い出す。仕事は、
借金は、老後は。そしてまたそれを忘れ
たくて、コンビニで菓子パンなど買う。
食べている間は忘れることが出来る。